コンサルタントの飯島綜研はこのほど、全国の旅館300軒(無作為抽出)を対象に昨年の売上結果と今年の売上見通しについてのアンケート調査を実施した。それによると、昨年の売上が前年比で減少したとする施設は全体の69.7%に上ったのに対し、増加したとする施設は18.2%にとどまり、旅館を取り巻く経営環境の悪さを物語っている。一方、今年の売上見通しについても、増加が12.5%にとどまる一方、減少が46.9%に上り、引き続き厳しい経営環境が見込まれている。
昨年の宿泊人員は、前年比で減少とする施設が全体の48.5%、増加または横ばいと回答した施設が51.5%と拮抗している。「宿泊人員に関しては下げ止まりの傾向が出てきたとの見方もできる」(飯島綜研)。
昨年の宿泊単価も、減少とする施設が42.5%、増加または横ばいとする施設が57.5%と大きな差はなく、「人員と同様の傾向がみられる」。
売上が上昇したとする施設の上昇理由は(3つまで回答可)「インターネットによる集客が増えた」が33.3%と最も多く、次いで「宿泊単価がアップした」20.0%、「直セールスによる集客が増えた」と「付帯売上が伸びた」の13.3%。「大手エージェントからの送客が増えた」はゼロだった。
一方、売上が下降したとする施設の下降理由は(同)「大手エージェントからの送客が減った」が25.4%と最も多い。次いで「中小エージェントからの送客が減った」と「付帯売上が減少した」の19.4%。
昨年の営業利益は、減少したとする施設が54.5%、増加したとする施設が33.3%。増加の理由は「人件費以外の経費が減少した」「人件費が減少した」がそれぞれ36.4%、27.3%と多いが、「売上が伸びた」も27・3%あった。
今年の売上見通しは上昇とする施設が12.5%にとどまり、特に大規模旅館はゼロだった。
売上拡大策については(3つまで回答可)「ホームページ等の充実を図り、ネット販売を強化する」が最も多く、30.8%が回答。次いで「広告宣伝・DM・セールス等を強化し、直客の集客に力を入れる」17.6%、「宿泊以外の売上部門を強化する」13.2%。「大手エージェントとの提携を強化する」「中小エージェントとの提携を強化する」はそれぞれ8.8%、3.3%だった。「売上拡大には『まず、エージェント』という従来の形から、営業方針に変化がみられる」(飯島綜研)。